秋田県警の秋田県警交通企画課が作った手作り動画がネット上で話題を呼んでいます。制作したのは秋田県警交通企画課で庶務や会計などを担う警察行政職員として働く佐藤ひろみさんで長男26歳がユーチューブに自作の動画を投稿しているのを見て、「こういうのを活用したらいいんじゃないか」と思い立ったのがきっかけで業務の合間に独学で編集した作品です
自転車の交通ルール
動画のあらすじは、雨が降る中、県警マスコットの「まもるくん」が、友だちの家に遊びに行こうとし傘を差しながら片手で自転車を運転。その途中で老人クラブのグラウンドゴルフ大会に行く予定だったおじいさん接触する内容です。
おじいさんは救急車で運ばれてしまい泣き顔のまもるくんは到着した警察官に指導され、「自転車でも加害者になることがある」と、交通ルールを守ることの大切さを学びます。
異例の反響に驚き
公開してから半年以上も視聴回数は数百回程度でしたが、とあるユーザーが10月に「こんな動画作れるとかもはや才能だぞ」とのコメントとともに動画の一部をツイッターに投稿したことがきっかけでこの投稿が6万回「いいね」、2万回リツイートされ、動画の視聴回数も急上昇してきたそうです。
出演者も、全員おまわりさん
この主人公まもるくん役を務めたのは、制作当時の交通部長の坂本幸一さんでした。「味がある部長の声を使いたい」と佐藤さんが最初に出演をお願いした際は「おれ滑舌悪いがらなー」と遠慮がちだったといいます。しかしめげずに何度もお願いすると承諾してくれました。「部長室で録音していると、事務室にも声が漏れ聞こえてきて、課内のみんながクスッとする感じでした」とエピソードを語っています
動画の「手作り感」がすごい
ネットで話題になったきっかけは、動画の「手作り感」だったようです。無料で使えるフリー素材のイラストを駆使した簡素なアニメーションや、まもるくんやおじいさんが話す秋田弁が好印象につながったようです。まもるくんがご機嫌に口ずさむ「ちゃっちゃらちゃちゃちゃ♪ おんちゅ♪」という謎の歌からの急展開など、編集の奇抜さが、視聴者の笑いを誘いました。
きっかけは息子の動画
佐藤さんの長男がユーチューブに自作の動画を投稿しているのを見て、「こういうのを活用したらいいんじゃないか」と思い立ったのがきっかけだそうです。交通安全の啓発動画を作りたいと昨年7月、企画書を上司に提出しました。道路交通法に詳しい警察官にシナリオを書いてもらい、業務の合間を縫って独学で動画を編集。「歩行者ファースト」「反射材の着用」「自転車の交通ルール」の3本をユーチューブで公開しました。
メゾットもあり交通啓発に繋がる
動画の後半では警察官が登場し、まもるくんに「自転車は軽車両といって、車の仲間なの」と諭します。そして、「車道は左側を通行」「歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行」などと自転車も交通ルールを守るように伝えています。またエンドロールでは、まもるくんがぶつかったおじいさんは幸いけががなかったことを伝える一方で、実際にあった例として、自転車で歩行者を転倒させて約9500万円の賠償を命じられたケースや、相手を死亡させて禁錮2年の実刑判決を言い渡されたケースも紹介されています。
しかし庁内では反応薄
秋田県警の動画としては異例のヒット作となった佐藤さんの動画ですが、意外にも県警内での反応は薄いそうです。「声かけられることもないし、庁内では見てる人は少ないのかな」ただ、3月に定年退職した坂本さんに動画の反響を伝えたところ、「ネットすごいと伝播力のすごさに驚きつつも喜んでいたといいます。動画づくりのきっかけとなった長男は「爪痕残せてよかったね」とねぎらってくれたそうです。
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