三菱電機が鉄道車両用の空調設備の性能検査で偽装していた問題で、検査が適正と装うために、架空データを自動作成する「専用プログラム」が使われていたことがわかりました。検査結果を記す成績書の記載内容に違和感が出ないよう、自然な数値を導き出すために使われていたとみられる。偽装が組織的に行われていた疑いが強まっているようです。
検査の偽装があったのは、空調設備を製造する長崎県時津町の同社の長崎製作所で6月14日に社内で発覚したようでうす。冷暖房の性能、消費電力、防水、寸法や耐電圧性能などの検査で、1985年ごろから偽装が続いていたと報じられています。
関係者によると、専用プログラムは複数の検査項目で使われていた。必要な検査を適正に行っていないのに、専用プログラムを使って適正に実施したかのような架空データをつくり、成績書に記入していた。適正な検査で実測したかのように見える自然なデータを導き出すための設定だったとみられる。検査そのものを行っていないのに、実施したように装ったケースもあったと朝日新聞で報道されています。
品質管理部が語る真実とは
検査データー改ざんはなぜ起こり続けるのか?
製造メーカーの工場で品質検査を行った経験がある人に聞いてみました
データー改ざんにはいつどこで起きるのか
- 測定中に現場測定者による改ざん
- 測定後のデーターを管理者による改ざん
大きく分けてこの2種類があるようです
測定中に改ざんを行う理由(想定)
- 測定量が多すぎて仕事が終わらないため
- 測定作業が面倒だから
- 誰も見てないから
- 簡単に改ざんができてしまうから
- 上司からの指示
測定後のデーターを管理者による改ざん
- 管理値ギリギリの製品の歩留まりをあげるため
- 納期が間に合わないため
- 測定機器の故障
- 会社からの指示
過去のデーター改ざんの例
三菱自動車 |
2000年6月12日 |
に運輸省自動車交通局のユーザー業務室に、三菱自動車社員による匿名の内部告発による通報 |
リコール隠し |
三菱自動車 |
2016年4月22日 |
供給先だった日産からの指摘 |
燃費 |
日産自動車 |
2017年9月 |
内部告発 |
完成検査にかかわる不適切な行為 |
日産自動車 |
2018年7月9日 |
内部監査(スバルの事例に基づき) |
燃費排気ガス |
スバル |
2017年10月 |
社内調査 |
完成検査にかかわる不適切な行為 |
スバル |
2018年6月5日 |
内部告発 |
燃費排気ガス |
スズキ |
2016年5月18日 |
国土交通省が自動車メーカー各社に不正の調査要求 |
完成検査に関わる不適切な行為燃費排気ガス |
タカタ |
2015年11月25日 |
市場でのトラブル発生内部告発 |
エアバッグ不具合 |
フォルクスワーゲン |
2015年9月18日 |
アメリカ政府環境保護局(EPA)が VWのディーゼルエンジンの違法性を指摘 |
排出ガス不正 |
東洋ゴム |
2007年~2015年 |
内部告発 |
断熱パネルの性能偽装 |
旭化成建材日立ハイテクノロジーズ |
10月28日 |
地域自治体の調査で判明 |
杭打ち工事データの流用・改ざん |
神戸製鋼 |
2016年9月から 2017年8月 |
内部告発 |
性能データ改ざん |
神戸製鋼の傘下の神鋼鋼線ステンレス |
2016年 |
工場長に就いた渡辺省三常務が、社内検査で不合格になった鋼線の処置を不審に思い、調べたところ発覚 |
性能データ改ざん |
ループ三菱電線工業と三菱伸銅 |
2017年11月24日 2018年2月8日 |
覚 神戸製鋼のデータ改ざん不正を受けて慌てて経営陣が発表 |
金属加工品などの不正品出荷 |
東レ・グループ |
2017年11月 |
インターネットへの書き込み(内部通報)のほか週刊誌の取材 |
|
日立化成 |
2018年6月29日 |
内部告発 |
品質検査のデータを改ざん |
現場で出来る改ざん防止対策方法
上記例からもわかるように組織的に企業が行っている改ざんはその会社の本質(経営陣)を変えない限り繰り返し何度でもおこなわれます。そしてそれだけ信用を失っても会社は存続できてしまうものなのです。
現場で行える対策は測定方法の変更
現場で行える測定者の改ざんを防ぐ方法としては手入力が出来ないシステムを使用することが1番の得策といえます。機械で測定したデーターがそのままデーターとして入力され作業者には修正が出来ないようにすることです。これはいっけん、コストがかかるように思えますが機械を一度導入してしまえば改ざんによって起こるリスクは無くなります。
教育と風通しの良い職場を目指す
何よりも改ざんを行ってしまった場合の損害や事の大事さを教育し適性の測定量を保つことが改ざんの予防につながると考えられます