自動車部品大手の曙ブレーキ工業は16日、国内工場で製造するブレーキとその部品で検査データの改ざんなど合計 114,271 件の不正行為があったと発表しました。不正データーのまま検査合格として出荷したブレーキはトヨタ自動車や日産自動車など10社に納入していました。具体的な不正行為としては本来行わなければいけない工程検査などを行わず過去の検査データ等を流用していたようです。2001年から19年間も不正が常用的に行われていた可能性もあります。悪質きわまりない行為です。
ISO9001認証及びIATF16949認証の一時停止について
2 月 16 日付にて公表したとおり、当社生産子会社である曙ブレーキ山形製造株式会社、曙ブレーキ福島製造株式会社、曙ブレーキ岩槻製造株式会社、曙ブレーキ山陽製造株式会社(以下、総称して「当社国内生産子会社」といいます。)が製造する自動車用ブレーキ製品等の一部において、お客様(完成車メーカー)に提出する定期検査報告書に不適切な行為(以下「本件」といいます。)がありました。本件を受け、ロイド レジスター クオリティアシュアランス リミテッド社より ISO9001 認証及び IATF16949 認証の一時停止の審議結果通知を受領いたしましたので、お知らせいたします。当社及び当社国内生産子会社は、是正計画策定を進めており、早期の解除に向けて、全力で取り組んでまいります。なお、今回の一時停止による生産及び納入への影響はございません。
お客様、お取引先様、株主の皆様をはじめとした関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけすることとなりましたことを深くお詫び申し上げます。
本来ISOはルールに乗っ取って検査を行っていることを証明する物です。何年も不正を行って来たにも関わらず監査などを逃れて来た事実が明るみになったため、ISO9001認証及びIATF16949認証を一時停止したようです。しかし曙ブレーキでは今後の生産及び納入への影響は無いとしています。これはこれからか出荷する分に関しては再検査を行ったため問題ないとのコメントであり2001年から改ざんデーターで出荷された物が大丈夫だったという話とは別のように感じます。
一時停止した認証は4種類
曙ブレーキ工業(株)
ISO 9001:2015 /JIS Q 9001:2015 0066524-501
自動車ブレーキ製品の設計・開発・製造
○曙ブレーキ山形製造(株) IATF 16949
- 2016 0066524-001 ブレーキパッドの製造
○曙ブレーキ福島製造(株) IATF 16949
- 2016 0066524-002 ブレーキライニングの製造
○曙ブレーキ岩槻製造(株) IATF 16949
- 2016 0066524-003 ディスクブレーキの製造
○曙ブレーキ山陽製造(株) IATF 16949
- 2016 0066524-005 ドラムブレーキの製造
ISO 9001は品質管理に関する物です。ただしく検査がおこなわれているかなど現場立ち合いで監査があります。一人の作業員が不正を行っていたとしたら19年間も続いていたということはありません。もしあったとしたら相当ずさんな管理体制です。監査は内部監査と外部監査がありますが、どちらも組織的に不正をおこなっていた可能性があります。
IATF16949は,自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム規格です。この規格は,IATF(国際自動車産業特別委員会)が作成したものであり,ISO9001への追加事項として共に利用する必要があります。
ブレーキテストの改ざん
不正検査があった部品のうち、自動車メーカーと取り決めた基準値に達しなかったものは約5000件もありました。曙ブレーキでは「再検査の結果、製品の性能に問題はないと判断した」と言い訳をしています。ブレーキの場合は車両に取る付けられた後に完成検査をおこなうので納車時には問題がないかもしれませんが、耐久テストなど行っていない場合ブレーキ表面が減ってきてから制動能力が極端に低下する可能性もあります
国内の山形、福島、岩槻、山陽の4工場
不正は国内の山形、福島、岩槻、山陽の4工場の全てで確認されました。検査データを改ざんしたり、実施していない検査のデータを記載したりしていたためISO9001認証及びIATF16949認証を一時停止しました。自動車メーカーとの間で取り決めた定期的な検査のデータが約19万件あり、そのうちの6割が不正だったそうです。調査の結果、不正は少なくとも2001年からあったことがわかりました。おそらくこれは氷山の一角にすぎないでしょう。
曙ブレーキ使用メーカー
曙ブレーキは、トヨタ、日産、ホンダ、三菱、いすゞなど全ての国産カーメーカーで使用しています。また海外では、ポルシェ、GM、フォード、メルセデスベンツほか、多くの海外カーメーカーで使用しています。エンジンが故障したとしても車は停止します。でもブレーキとなるとそうはいきません。命に直結する部品です。この問題は自動車に乗る人全員に関係する重大な問題です
対象製品
①自動車用ディスクブレーキ(岩槻製造)
②自動車用パッド(山形製造及び福島製造)
③自動車用ドラムブレーキ(岩槻製造及び山陽製造)
④自動車用ライニング(福島製造及び山形製造)
① ディスクブレーキ
車輪とともに回転する金属の円盤(ディスクローター)を両側からパッド(下記②)で挟んで制動する装置。キャリパーシリンダー内のピストンによりディスクローターにパッドを押し当てる機構(メカニズム)を備えています。パッドを含む幾つかの部品を組み立てて製造します。
② パッド
ディスクブレーキを構成する部品であり、この部品をディスクローターに直接接触させて生じる摩擦により制動力を発揮します。10~20 種類の材料(摩擦材)を成形し、バックプレート(鋼板)に接着して製造します。
③ ドラムブレーキ
車輪とともに回転する円筒形状の部材(ドラム)の内周にライニングを押しつけて制動する装置。ホイールシリンダー内のピストンによりドラムにライニングを押し当てる機構を備えています。ライニングを接着させたブレーキシューを含む幾つかの部品を組み立てて製造します。
④ ライニング・ブレーキシュー
ライニングは、ドラムブレーキを構成する部品であり、この部品をドラムに直接接触させて生じる摩擦により制動力を発揮します。10~20 種類の材料(摩擦材)を成形して製造します。このライニングを三日月形の鋼板(ライニングの接着面を「リム」、リムに垂直に溶接した鋼板を「ウェブ」といいます。)に接着した部品をブレーキシューといいます。
具体的不正行為
お客様から指定された検査項目の検査を行い、その結果を定期的にお客様へ報告しておりますが、その中で、下記の行為が判明いたしました。
① 検査データの修正(例:実測データのばらつきを、お客様管理値の中央値または
従前の報告値に近い方向に修正)
② 未実施検査データの記載(例:過去の検査データの流用等)
③ 要請されている検査サンプル数の省略(例:製品を 2 個採取すべきところを 1 個
で済ませた)
どんな不正が行われたかと言うと、実際に測定した数値にばらつきがあったため中央値を記載したようです。例をあげると寸法の規格が5mm以内だった場合、+5mm大きい物とー5mm小さい物の平均で0mmに修正したような感じだとおもわれます。これでは検査の意味がまったくありません。また実施には測定してない検査結果や抜き取り数(10個中2個測定する)を減らして測定したようです。これも意図的に行っていたのであれば悪質きわまりないです。
なぜ発覚したのか?
2020 年 3 月、お客様の完成車メーカーから、曙ブレーキ岩槻製造株式会社が製造したディスクブレーキの検査報告書に不審なデータが記載されているなどの指摘を受け、社内調査をしたところ、岩槻製造がディスクブレーキの検査報告書に実施していない検査結果を記載してお客様に提出していることが発覚した。
指摘を受けた検査内容
お客様から報告を要請される検査項目の総数 50 項目の内、不適切行為があった検査項目は 36 項目となります。その中で、製品の性能に関わる重点的に検証すべき 16 項目を下記の通り特定いたしました。
- パッドせん断強度 (常温)(高温)
- ライニング接着強度
- 耐接線力強度
- 耐圧強度
- シュー溶接強度
- 締付け部位強度(ディスク)(ドラム)
- 液圧耐久(ディスク)(ドラム)
- トルク耐久(ディスク)(ドラム)
- 気密性(ディスク)(ドラム)
- 摩擦係数(ディスク)
- 締付けトルク
部品としては自動車のブレーキパッドやドラム式ブレーキのシュー部分、ブレーキキャリパーの耐圧強度など、かなり重要な項目がふくまれています。検査数も頻度を減らして測定した上に不正データーを使用していたとなると、不良品の流出がかなりあったことが見受けられます。たまたま事故につながらなかったのか、事故があったとしても運転者のブレーキミス等で終わっていたケースも想定されます
曙ブレーキが行った検証
曙ブレーキが過去に出荷した分の安全性を担保するために行った検証は基準値を下回る粗悪品をサンプルとして最大値の負荷を疑似的にかけて破損するかというテストを行ったようです。その結果粗悪品でも破損しなかったのだから問題ないという見解のようです。そうなると元々の基準は何のためにあるのか全く意味不明です。
どうして不正が
19年も見つからなかったのか
製造拠点で、お客様に対する検査報告書作成業務を行う作業員が、固定された従業員が長年にわたり担当し、上長や他の従業員がその業務内容をほとんど知らない状況が生じ、他人にチェックされるという心理的な牽制が全く機能しなくなったことが不適切行為を招いた重要な要因の一つであるとしています。仕事をしらない上司に意味があったのでしょうか?
検査データー改ざんはなぜ起こり続けるのか?
製造メーカーの工場で品質検査を行った経験がある人に聞いてみた
データー改ざんにはいつどこで起きるのか
- 測定中に現場測定者による改ざん
- 測定後のデーターを管理者による改ざん
大きく分けてこの2種類があるようです
測定中に改ざんを行う理由(想定)
- 測定量が多すぎて仕事が終わらないため
- 測定作業が面倒だから
- 誰も見てないから
- 簡単に改ざんができてしまうから
- 上司からの指示
測定後のデーターを管理者による改ざん
- 管理値ギリギリの製品の歩留まりをあげるため
- 納期が間に合わないため
- 測定機器の故障
- 会社からの指示
過去のデーター改ざんの例
三菱自動車 |
2000年6月12日 |
に運輸省自動車交通局のユーザー業務室に、三菱自動車社員による匿名の内部告発による通報 |
リコール隠し |
三菱自動車 |
2016年4月22日 |
供給先だった日産からの指摘 |
燃費 |
日産自動車 |
2017年9月 |
内部告発 |
完成検査にかかわる不適切な行為 |
日産自動車 |
2018年7月9日 |
内部監査(スバルの事例に基づき) |
燃費排気ガス |
スバル |
2017年10月 |
社内調査 |
完成検査にかかわる不適切な行為 |
スバル |
2018年6月5日 |
内部告発 |
燃費排気ガス |
スズキ |
2016年5月18日 |
国土交通省が自動車メーカー各社に不正の調査要求 |
完成検査に関わる不適切な行為燃費排気ガス |
タカタ |
2015年11月25日 |
市場でのトラブル発生内部告発 |
エアバッグ不具合 |
フォルクスワーゲン |
2015年9月18日 |
アメリカ政府環境保護局(EPA)が VWのディーゼルエンジンの違法性を指摘 |
排出ガス不正 |
東洋ゴム |
2007年~2015年 |
内部告発 |
断熱パネルの性能偽装 |
旭化成建材日立ハイテクノロジーズ |
10月28日 |
地域自治体の調査で判明 |
杭打ち工事データの流用・改ざん |
神戸製鋼 |
2016年9月から 2017年8月 |
内部告発 |
性能データ改ざん |
神戸製鋼の傘下の神鋼鋼線ステンレス |
2016年 |
工場長に就いた渡辺省三常務が、社内検査で不合格になった鋼線の処置を不審に思い、調べたところ発覚 |
性能データ改ざん |
ループ三菱電線工業と三菱伸銅 |
2017年11月24日 2018年2月8日 |
覚 神戸製鋼のデータ改ざん不正を受けて慌てて経営陣が発表 |
金属加工品などの不正品出荷 |
東レ・グループ |
2017年11月 |
インターネットへの書き込み(内部通報)のほか週刊誌の取材 |
|
日立化成 |
2018年6月29日 |
内部告発 |
品質検査のデータを改ざん |
現場で出来る改ざん防止対策方法
上記例からもわかるように組織的に企業が行っている改ざんはその会社の本質(経営陣)を変えない限り繰り返し何度でもおこなわれます。そしてそれだけ信用を失っても会社は存続できてしまうものなのです。
現場で行える対策は測定方法の変更
現場で行える測定者の改ざんを防ぐ方法としては手入力が出来ないシステムを使用することが1番の得策といえます。機械で測定したデーターがそのままデーターとして入力され作業者には修正が出来ないようにすることです。これはいっけん、コストがかかるように思えますが機械を一度導入してしまえば改ざんによって起こるリスクは無くなります。
教育と風通しの良い職場を目指す
何よりも改ざんを行ってしまった場合の損害や事の大事さを教育し適性の測定量を保つことが改ざんの予防につながると考えられます
ブログの紹介
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入門編 レンタカー回送ドライバー始め方
準備編 レンタカー回送に必要な物
実践編 早速レンタカー回送をやってみよう
攻略編 レンタカー回送のコツ
レンタカー回送は1年中かせげるの?レンタカー回送の繁忙期とは
レンタカー業界裏話